風船の糸

さて、母の葬儀の数日後、演奏会は行なわれました。
トップの先輩に、「今日は来ないと思ってた」と言われながら。
(実は、私(=トップサイド)が来なかった場合の席順まで、
 考えていてくれたらしいのです。感謝。)
父は、ひとりで聴きに来てくれました。それから、卒業までずっと。
父は父なりに、母との絆をここに感じていたようです。


不思議なことに、悲しみにくれるという感じではなく、
まるで風船の糸が切れたかのように、という表現がぴったりの、
地に足がつかない、自分の体重がなくなってしまったのではないかと
思ってしまうほどのふわふわした空虚な時間が続きました。
授業、バイト、オケ…と毎日が忙しかったことだけが、
私を現実につなぎとめていた、というのが正しいのでしょうか。


死んでしまったら、今を生きることはできないんだ。
という現実。
悲しいという感情が出る前に、自分の中の一部がごっそり削られてしまった感覚。


さて、そんな中、私には当時、一つ下に後輩が5人(!)いました。
今思えば、「生きる」ということにしがみつくためかもしれませんが、
次第に後輩の指導に没頭していきます。

彼らは全員初心者だけど、必ず伸びると信じていたし、
どんな曲がきても、絶対に乗りきれるという確信がありました。
…なぜ、の理由は次回。笑